建て替え=すべて壊すという選択の前に、、フルリフォームのメリット・デメリット

・フルリフォームのメリットとは フルリフォームのメリットのひとつは、工期が比較的短いこと。工事中仮住まいの慣れない環境で暮らす負担が減らせる上に、家賃を抑えられます。また、建て替えに必要となる解体費用や基礎をつくる費用がかからないので、その分をワンランク上の設備や仕上げ材に回せるかもしれません。同じ予算設定でも、フルリフォームと建て替えではできることの中身がだいぶ違ってくるということです。
フルリフォームの場合、従来の住まいに対する不満や改善したい点を解消するという目的が明確で考えやすく、リフォーム後の様子をイメージしやすいのも利点です。 親や祖父母の代からの歴史や思い出を受け継ぐ意味合いを大切にするなら、リフォームに軍配が上がります。家族に高齢の人がいる場合は、従来の環境を劇的に変化させることなく居住性をアップできるリフォームなら、違和感が少なく馴染みやすいといったメリットもあります。 その他、フルリフォームは、固定資産税などの各種税金の軽減が可能である点や、解体によって出る廃材が少なく環境負荷が抑えられる点でも優れています。
・デメリットを考え、比較してみる フルリフォームのデメリットについて。ひとつは、間取り変更の制約を受けやすいことです。間取りをゼロから自由に設定できる建て替えとの大きな違いです。柱と梁で構成する木造軸組み構法や鉄骨造は、比較的間取り変更を自由に行なえますが、2×4や2×6といった壁の位置を変更しにくい構法では、特に制約を受けやすいといえるでしょう。 老朽化の進んだ建物の場合、解体してはじめて予想を超えた傷み具合が明らかになることも多く、当初の見積もりどおりに行かないケースもあります。建築年が1981(昭和56)年以前なら旧耐震基準で建てられており、耐震性向上には多額の費用がかかるため、建て替えの検討が必要でしょう。

・住宅診断を受けた上で考えてみるのも手 このように、フルリフォームでは既存建物の劣化が激しいほど補修のコストが上昇するので、費用対効果については慎重に吟味したほうが良いでしょう。それなりの大金を投じた挙げ句、耐震性への不安や断熱不足による室温環境への不満、冷暖房ランニングコストの浪費を抱え続ける暮らしは、おすすめできません。迷っていて決められないなら、リフォーム会社や住宅会社、住宅診断専門のホームインスペクション会社などの専門家による住宅診断を受けるのもひとつです。自治体によって耐震の簡易診断サービスや、診断費用の補助制度などがあれば、ぜひ利用しましょう。
・リフォームなら法改正による影響を避けられる フルリフォームと建て替えを天秤にかける際、最初にチェックしたいのは、住んでいる場所の「用途地域や条例の変更の有無」。自治体の役所などで確認することができます。建ぺい率や容積率などが建築当初から変わっていることもあり、建て替えると現状より規模が縮小されてしまうケースもありえます。また、敷地に接する道路の幅が4m未満であれば敷地のセットバックが必要になり、やはり建て替えれば規模縮小につながりかねません。住まいの広さを確保したい場合、フルリフォームなら現状の面積を減らさず住み続けることが可能になります。